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企画展|小野寺綾展 − 世界のかけら

2019.02.10 Sunday | ギャラリー情報

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Aya Onodera solo exhibition - Fragments
小野寺綾展 ‒ 世界のかけら



この度当ギャラリーでは、宮城県気仙沼市出身、2005年よりドイツ・ベルリンに移り住み、2019年現在は宮城県気仙沼市/ドイツ・ベルリン在住の小野寺綾の仙台初個展を開催いたします。
渡独以降14年ぶりの日本での発表となる本展では、油彩・色鉛筆・ビーズ・キャンバス等の素材を用いた絵画約20点を展示。同時期には宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館で「N.E. Blood 21 小野寺綾展」も開催されます。


■会期
 2019. 2.12 tue − 2.24 sun
 am11:00-pm7:30、日曜のみpm5:00まで
 月曜休廊 入場無料

■会場
 Gallery TURNAROUND
 980-0805 仙台市青葉区大手町6-22久光ビル1F
 地下鉄東西線「大町西公園駅」より徒歩5分

■トークイベント
 登壇者 : 清水建人、小野寺綾 司会 関本欣哉(TURNAROUND)
 日 時 : 2019年2月24日(日)13:00-14:30
 入場料 : 500円 
 定 員 : 約25名 予約優先 
 予約先 : info@turn-around.jpまでメールで

清水 建人|Shimizu Kento

1976年岐阜県生まれ。せんだいメディアテーク主任学芸員。近年のおもな企画展に「高嶺格 大きな休息」(2008年)、「志賀理江子 螺旋海岸」(2012年)、「物語りのかたち」(2015年)、「コンニチハ技術トシテノ美術」(2017年)「ヒスロム 仮設するヒト」(2018年)などがある。



ヤン・フィリップ・フリューゾルゲ
詩と変成 ――
小野寺綾の作品について


ベルリンを拠点に活動する日本人画家、小野寺綾の最新の二つのシリーズは、Fragments「世界のかけら」とSpürenelement「微量元素 - 感知する知覚」と題されている。
これらのタイトルは、多様な捉え方を可能にする普遍性を持ち合わせていると同時に、作者の意図を解釈する上でのヒントにもなりえる。

小野寺氏の作品では、非常に基本的かつ実存的本質といったテーマが取り扱われているが、絵画の中に潜む秘密はすぐには明らかにされない。それらの作品は、共鳴しながら見つめることによって、体感され読み取られることを望んでいる。
このように、作品と直接対峙することによって初めて作品の複雑かつ神秘的美しさが開花するのである。

絵画について執筆したり語ったりすることは、それを自ら体感するのとは全く異なることだ。ゆえに、いかなる説明もそれらを体験するための手引きや、作品の表面下に潜むものへの理解を深めさせるものでしかない。
小野寺氏の絵画について語る際、パウル・クレーの有名な名言がある意味当てはまるだろう。『芸術の本質は、見えるものをそのまま再現するのではなく、目に見えないものを見えるようにするものである』ということである。

Fragments「世界のかけら」およびSpürenelement「微量元素 - 感知する知覚」は、絵画で表された実在以外にも、まさに今ここに存在している何かがあるということを意識させてくれる。
かけらというのは常により大きな全体の一部であり、微量元素はある物質の特定の濃度(多くの場合はごく薄い濃度)を指す。

この部分的に目に見えている実在への概念は、絵画の中で映し出されている。
つまり、一方では、絵具を塗ることでキャンバスのスペースの部分を覆っていき、残りのスペースでは光を呼び起こす。他方では、目に見えない平らな無形の実在があるということだ。

我々は、喪失と非永久性(無常)といった話題をあげることもできるだろう。

2011年の東日本大震災では、作者の故郷である気仙沼市は悲劇的にも津波による甚大な被害を受け、彼女はその大災害を非常に身近なものとして経験した。

だが、作品の中で喚起されるのは悲しみや苦しみというよりも、ポジティブな感情である。記憶は傷口を開けたままにするが、人はそこから成長と変成のエネルギーを感知するのである。

こうして、「世界のかけら」シリーズの作品上に装飾されたビーズは、抽象的な構造要素ではあるが、無限の宇宙空間に漂う結晶や夜空を埋める星々を連想させる。我々が受け取っている光は、太古に消滅した星が放出した光かもしれないが、その美しさはいまだに我々を楽しませてくれている。

作品の中には時間的要素が刻み込まれているが、ここでいう時間とは直接的に語られる物語のことではない。
記憶と未来の投影は、小野寺綾の作品と芸術活動に対する考え方の一要素である。
記憶と未来の投影は、まるでキャンバスに色を塗る前の白亜地のように、彼女の芸術的プロセスの下に薄く塗り拡げられている。

このように、作品内には詩的空間が内在し、それは作品を観ていくうちに明瞭になっていくのである。
また、自然も小野寺の絵画では少なからず特別な役割を担っている。彼女が作品について語る時、樹木や植物、特別な部屋、故郷や幼少の思い出、それらの強い存在感が彼女にインスピレーションを与えてきたことがわかるだろう。

自然の持つ造形力は、いつの世も絶えず芸術家を魅了し、インスピレーションを与えてきた。ベルリンを拠点にする日本人画家である小野寺は、当然この慣習は二重に習得している。

つまり彼女は、ロマン主義やヨーロッパの大自然による自然科学への知識があると同時に、彼女の故郷である東アジアの思想も持ち合わせているということだ。彼女の故郷では、神道と仏教は、自然には魂が宿っているとし、自然への敬意を示す。

この感情的地形の根深さが、彼女の芸術を人間らしく、観る者の魂に触れるものにするのだ。また、自然は成長や滅びのような有機的プロセスをも感じさせるモチーフとして存在するのである。

小野寺の絵画は決して難解なものではないが、そこには、光と関係する秘密が宿っている。その光はキャンバスを発光させるかのように観る者を呼び起こすのである。

初期の作品が深い藍色で特徴づけられる一方で、最近の二つのシリーズはより明るく暖かい、多彩なスペクトルを特徴とする。
彼女の絵画における絵具の色調は、より淡くパステル調になり、時にはほとんど透明水彩画のようでもある。そこでの絵具の流れや動きは作品に非永遠で儚い特別な質を与えている。

「Spürenelement」シリーズの中で小野寺は、普段使用している油彩は使わず、色鉛筆のみでキャンバスに描いている。キャンバスの荒い表面で摩耗する色鉛筆のこすれ具合は、接触や触覚と深く関係する構造を生み出すとともに、雄弁な色鉛筆が無言のキャンバスを語らせるという意味で、特に美学的対話をも表現している。

このシリーズの絵画は、彼女の幼少時代の部屋に関する記憶から誕生したのだが、それらは微量元素のような薄い記憶に触れられたことにより、形象が感知され誕生したのである。

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□Jan-Philipp Fruehsorge(ヤン-フィリップ・フリューゾルゲ)
1968年ドイツ生まれ。キュレーター、評論家、美術史家、作家。
ベルリン自由大学で美術史、映画、舞台芸術、歴史、英文学を学ぶ。 雑誌や新聞のフリーランスのアート評論家として働いた後、2003年にフリューゾルゲ・コンテンポラリー・ドローイングを設立。2014年には、アメリカとヨーロッパにて同様の機関のネットワークを構築するためのドローイング専用の非営利の展示・研究プラットフォームThe Drawing Hubを立ち上げる。現代美術のドローイング発行に携わり、ベルリンのアートスクールやウエストランド大学(ブリストル)のゲスト講師も務める。現在はコペンハーゲン/ベルリンにあるBorchギャラリー・エディションのディレクターに就任。




■作家略歴
小野寺 綾 | Onodera Aya

1984年 宮城県気仙沼市出身
2005年より ドイツ・ベルリン在住
2012年 ベルリン芸術大学造形学部絵画科研修生 ブァクハァード・ヘルド教授師事
    [平成23年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員]
2011年 ベルリン芸術大学造形学部絵画科卒業 ブァクハァード・ヘルド教授師事
2007年 ベルリン芸術大学造形学部絵画科聴講生 フランク・バドァー教授師事
2005年 女子美術大学短期大学部造形学科絵画抽象コース卒業
2018年 宮城県気仙沼市 / ドイツ・ベルリン在住

[受賞並びに奨学金]
2018 助成 公益財団法人野村財団
   助成 公益財団法人 朝日新聞文化財団
2011 平成23年度文化庁新進芸術家海外研修制度研修員
2005 卒業制作研究室奨励賞 [女子美術大学短期大学部造形学科]

[個展(選別)]
2019 N.E. Blood 21 小野寺綾 展 [リアスアーク美術館 気仙沼]
 小野寺綾展 − 世界のかけら [ Turnaround gallery 仙台]
2014 Die Meerader − 海の脈 [Locus Disignatus ベルリン]
2011 Vein [G11 Galerie ベルリン]
    Das Meer nimmt alle Herzen, Leben mit [Spinnerei ライプツィヒ]
2009 Was am Flussufer des Tagesanbruchs gesehen wurde, war vielmehr ein Gebet als Wörter
 [Kunstverein Greven ドイツ・グレーヴェン ]
2008 Der Vermilion Raum [Lindenfels Westflügel ライプツィヒ]
2005 発心青 [府中市立美術館市民ギャラリー 東京]
2004 ex-stasis [exhibit LIVE 東京]

[グループ展(選別)]
2016 all times and places [Iksan Creation Center, Somrigol Gallery 韓国・イクサン]
   2nd Art Residency Festival [Iksan Arts Center 韓国・イクサン]
 STOP OVER [E127 Iksan culture house 韓国・イクサン]
 Gosaek NEWSEUM [GosaekNEWSEUM 韓国・水原]
 Liberation of water供[Iksan Creation Center 韓国・イクサン]
 House [Case Sparse _Tra l'Etere e la Terra イタリア・マロンノ]
2015 Berlin Girls [Lachenmann Art ドイツ・コンスタンツ]
2014 PHYSIS [JDZB ベルリン]
 Distant Observations. Fukushima in Berlin [Kunstraum Bethanien ベルリン]
2013 PHYSIS [ギリシャ・ヴェリア & アテネ]
 Requiem [在独日本大使館 ベルリン]
 Water [ベルリン赤の市庁舎  ベルリン]
2012 Rundgang der UDK
 [ベルリン芸術大学]
 [Landesschule Porta ドイツ・ナウムブルグ]
2011 New Year's Reception [Kunstraum Richard Sorge ベルリン]
2009 シュピンネライ125周年記念展覧会 [Spinnerei ライプツィヒ]
   A sustainable world is a just world [Pro Art Gallery  アテネ]
   Caravan show [なびす画廊 東京]
2008 [Culture centre  ボスニアヘルツェゴビナ・トラヴニック ]
   [Cavanacor Gallery アイルランド・ドネガル]
2007 Unschuldige Malerei [Kunstraum t27 ベルリン]
2006 La Menagerie [Galerie H 17 ウィーン]

[アーティスト・イン・レジデンス] 
2018 Benaco Arte イタリア・シルミオーネ
2016 Iksan creation center 韓国・イクサン
   Case Sparse _Residenz Artistica イタリア・マロンノ
2013 PHYSIS ギリシャ・ヴェリア
2008 LIA - Leipzig International Art Programme  ライプツィヒ


http://www.ayaonodera.com/




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企画|ターンアラウンド  
翻訳|和訳・Mai Rapsch 英訳・Anselm Huppenbauer  
翻訳協力|コトバ事務所


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◆『N.E.blood 21 vol.69 小野寺綾展』
2019年2月9日(土)から3月17日(日)
観覧無料
気仙沼市/リアス・アーク美術館 HP

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◆会期中タナランカフェスペース同時開催イベント
『cat ! cat ! cat ! charity event』
⓶TURNAROUND会場/ミニ 猫猫マグネット展
 当店会期:2月15日(金)-22日(金)(月休)
 [出品作家]
 いのうえ佳代子、大柳暁、小野寺綾、
 佐々瞬、K.WATANABE、樋口佳絵、関本欣哉

 他に複数会場ございます↓
 http://fudetoneko.jugem.jp/?eid=653