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青野文昭展/Gallery TURNAROUND企画展

2014.01.08 Wednesday | ギャラリー情報

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青 野 文 昭 展/Gallery TURNAROUND企画展
Planned Exhibition by gallery TURNAROUND.
Aono Fumiaki Exhibition.

会期:2013.12.22sun−2014.1.19sun
火曜〜土曜11:00-20:00 日曜18:00迄
月曜(12/23.1/13休)及び12/30-1/6休廊

会場:Gallery TURNAROUND
宮城県仙台市青葉区大手町6-22久光ビル1F
022-398-6413
入場無料


□アーティストトーク 2014年1月19日(日)15:00
・・・あいちトリエンナーレ、東京個展等報告会


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■2013年9月 東京・ギャラリイKで開催
青野文昭展「それぞれの床面・流出・移植2013」
トークイベントゲスト、福住廉氏による展評
青野文昭展  修復超え別の造形に

 傷ついた心を癒すのか、復興の具体策を提案するのか、それとも暗い社会を希望の光で灯すのか。
 東日本大震災以降、突きつけられた「何を表現するのか」という問いに、美術家ならではの一つの答えを示したのが青野文昭である。「青野文昭展 それぞれの床面・流出・移植2013」が、東京都中央区のギャラリイKで開催された。
 青野がこれまで制作してきたのは、廃棄された日用品の破損した部分を修復した作品。カセットテープやたんすなど、大小様々なものの形や色を想像力で直すのである。
 本展でも、いくつもの修復された座卓が展示された。一見すると何の変哲もないのだが、よく見ると表面に色とりどりの模様が広がっている。津波で流失した家屋に残された床面を移植したらしい。破壊された床面と廃棄された座卓を融合することで、新たな造形として再生させたのだ。まるで私たちの足を支えていた平面に4本の足が生え、どこかに勢いよく走り出すかのようだ。
 面白いのは、青野にとっての「修復」や「融合」が、必ずしも「復元」とは限らないことだ。それらはしばしば原型の忠実な再現にとどまらず、原型から逸脱し、拡張したかたちとして現れている。青野の想像力は、物に生じた欠落をふさぐどころか、そこからあふれ出す。
 とはいえ青野の作品は、見慣れた事物に違和感をもたらす「異化効果」を狙っているわけではない。違和感がないわけではないが、事物としてあまりにも自然なため、その存在をあるがままに肯定できるのだ。
 座卓の作品にしても、融合のつなぎ目が溶け合っているように見えるからなのか、印象深いのは事物の異形というより、むしろ事物の自立した存在感である。青野の想像力は奔放に飛翔するというよりは、重力になじんでいるのかもしれない。
 想像力によって傷を修復する美術家は数多い。しかし、傷の修復を超えて新たな造形として自立させる美術家は少ない。震災以後の美術に希望があるとすれば、それは青野の作品に見出すことができる想像力の質量ではないだろうか。

福住廉(美術評論家)

共同通信・記事 2013年