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混沌の首 石川雷太からのメッセージ

2011.03.20 Sunday | 美術

混沌の首 石川雷太からのメッセージ

ターンアラウンド、関本様、仙台の皆様へ


本日の企画、混沌の首、青葉神社奉納ライブ、歩く瞑想、ターンアラウンド瞑想ライブは、今回の東日本大地震、福島第一原発事故の影響で中止とさせていただきます。本当に申し訳ありません。

何とか状況が改善し、何とか行けるメンバーだけでも仙台に入り、内容を縮小してでも実現できたらと考えておりましたが、今回は無理と判断しました。東北自動車道、東北新幹線の復旧の見通しも立たず、ガソリンも買えない。東京〜仙台の中間にある福島原発事故の終息の兆しもまだ見えません。気持ちがあっても物理的に動けない、無念であります。ターンアラウンド、関本様、その他スタッフの皆様、そして何よりも楽しみにして下さっていた観客の皆様にお詫びを申し上げます。

アートは普段は、趣味的な楽しみ、一般的に経済的にも大して価値の無いものと捉えられることが多いです。しかし、人が何らかの危機に瀕した際に、実は大きな力を発揮します。

音楽やアートは、傷ついた心を癒し、疲れ切った心に元気を、迷った心に勇気を与えることができます。阪神大震災の時には、ロックバンドのソウル・フラワー・ユニオンのメンバーが、ソウル・フラワー・モノノケサミットを結成し、電気の無い被災地で三味線やチンドン屋の楽器に持ち替えて、至る所で、街頭や避難所で無料ライブを行い、老若男女現地の人々を勇気づけました。

今は亡き忌野清志郎は、自分の親会社である東芝を敵に回してまでも原発の危険を訴え続け、ジョンレノンのカバー曲「イマジン」の中で「夢かもしれない、でもその夢を見ているのは、君ひとりじゃない」と訴える。ジョンレノンのパートナーだったオノ・ヨーコは、紛争地から運んだ無数の弾痕のある貨物列車を展示し、本当の戦争と本当の平和についての考えること、感じることを人々に促そうとする。

アートは人々に大事な何かを気づかせます。アートにはそのような力がある。その力は微力かもしれないけれど、その力を信じていれば、確実に世界は変わっていくだろう。そして決して諦めないこと。その先に未来がある。

今回の地震でしばらくターンアラウンドの関本さんと連絡がとれなくなり、一時はとても心配しました。Twitterの書き込みを見て無事を確認し、本当にほっとしました。アートにとって最も大事なものは場所と人です。どんなに優れた作品があっても、それをサポートする場所と人がいなければアートは成立しません。ターンアラウンドと関本さん、そしてそれをサポートするスタッフ、観客の皆さんは、仙台の現代アートの大きな可能性なのです。消えてもらっては困ります。今、大変な状況と思いますが、とにかく頑張って乗り切って下さい。アートの場所を守って下さい。アートとその志しを生かし続けてください。

現在こちら茨城県でも、東北の被災地ほどではないにしろ、ガソリンは全く買えず移動ができない、スーパーも棚からどんどん品物が無くなっているという状況、放射能の心配もあります。でもこんな時だからこそ想像力の力が試されているような気がしています。音楽を聴いています。音楽をかけながら片付けをしています。

東京の混沌の首のメンバーも皆無事です。鉄道の運休や停電などまだまだ不安材料は多いですが徐々に回復してきているようです。今回のライブのために何度もリハを行い準備を進めていました。今回の中止を皆とても残念がっております。

日程はまだ未定ですが、いつの日か仙台にてよりパワーアップした混沌の首、瞑想ライブをお届けします。その時に皆さんとお会いできることを楽しみにしています。


混沌の首 石川雷太 メンバー一同