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展示概要

タイトル 青野文昭展 髑髏杯
アーティスト 青野文昭
会期 2011.05.10~2011.05.29
ライブイベント 会期中ギャラリー内において、青野文昭による「ライブイベント・公開修復合体」

解説

青野文昭展 髑髏杯

 侵入した片方が、侵入された片方のほとんどを、自身の固有性で染め上げてしまう。最初からなかったかのように、片方が圧殺され、乗っ取られる。つなぎ目、縁のズレ、質感の差異、上塗り部分、などの微妙な痕跡により、圧殺された片方の断片の存在が生き続ける。そのことによって、乗っ取りの事実、過程がネガティブにその全体像へ刻印される。やはりここでも、当初劣勢だった方が、優勢な側に侵入して行く場合がより望ましい。(青野文昭氏HPより抜粋)

 青野氏のシリーズタイトルでもある「なおす・代用・合体・乗っ取り」は、何でもないモノの2つの破片・断片を「なおし、代用し、合体させ、乗っ取って」いく。
「なおす・代用・合体・乗っ取り」していくその異質の2片は一歩間違うと崩れてしまいそうな、お互いが喰い尽くしてしまいそうな危ういギリギリのバランスで成立っている。

 アートにはバランスが大事だ。しかしそれは均整の取れたおさまりの良いバランスではない。
バランスのとれたアンバランスとでも言うのだろうか。このアンバランスこそが緊張感を生み時間さえ支配してしまう。青野氏はこの絶妙なアンバランス感覚を持ち合わせている数少ないアーティストである。空気、時間、そして私たちをも「なおす、代用、合体、乗っ取り」していく彼の作品は絶えず息をし「今」を刻んでいる。青野氏の世界に侵食された私たちは「今」なにが見えるだろうか。

ライター:関本欣哉

作家略歴

経歴

1968
仙台市生まれ 1992国立大学法人宮城教育大学大学院美術教育科終了
1992
「修復」宮城県美術館県民ギャラリー(仙台)
1996
ワークショップ木・き・キ リアスアーク美術館(気仙沼)
1997
心展(現代ア-テイストセンター展)東京都美術館
個展「なおす・無縁-有縁」宮城県美術館県民ギャラリー(仙台)
1998
ubusuna展 宮城県美術館県民ギャラリー(仙台)
うぶすな展 (現代ア-テイストセンター展)東京都美術館
個展「なおす・無縁-有縁」真木田村画廊(東京)
1999
個展「なおす・無縁-有縁」真木田村画廊(東京)
2000
アートみやぎ 宮城県美術館(宮城)
「青野文昭展」リアスアーク美術館(気仙沼)
崇高と労働展 板橋区美術館(東京)
個展「なおす・無縁-有縁」Gallery ART SPACE(東京)
2001
VOCA展・現代美術の展望-新しい平面の作家たち 上野の森美術館 (東京)
うぶすな展 シテデザール (パリ)
みちのくアート みちのく杜の湖畔公園(宮城)
個展「後天的に」ワッツア-トギャラリー(仙台)
2002
ニューアート・コンベンションof Miyagi(大賞)仙台メディアテーク
2003
個展「ARTERATION」ワッツアートギャラリー(仙台)
幻想と幻視・混在領域と領域侵犯 平塚市美術館(神奈川)
2004
今日の日本現代美術展「共生する美術」宇徳文化院Wooduk Gallery,
韓国日本大使館文化院Silk Gallery(ソウル)京都芸術センター(京都)
「ソウゾウ(創造)するソウゾウ(想像)平面から」公開制作・展示・宮城県美術館普及部
個展「多にして1なるもの-1にして多なるもの」ギャラリーlavie(盛岡)
2005
『宮城県芸術選奨受賞者作品展』 (せんだいメディアテーク、宮城・仙台)
2006
『THE LIBRARY』 (足利市立美術館、栃木・足利/多摩美術大学美術館、東京・多摩)
個展「異種混合」 (ギャラリー青城、宮城・仙台)
『アート@つちさわ<土澤>2006』(岩手県花巻市東和町土澤商店街を中心とした一帯、岩手)
『Scale - Out』 (スウイングビル、宮城・仙台)*5人の作家による連続個展)
個展「蛇のいる景色-無縁の記録-」(百葉箱ギャラリー・ギャラリーアートスペース、東京)
2007
個展「なおす・それから」 (Gallery≠Gallery、東京)
個展『N.E.blood21 Vol.28 青野文昭』 (リアスアーク美術館、宮城・気仙沼)
『Scale - Out』 (卸町イベント倉庫、宮城・仙台)
『みやぎ秀作展・彫刻』(緒絶の館、せんだいメディアテーク、大崎、仙台)
2008
『いのちの法則・生をひもとくための三つの書』(足利市立美術館、栃木県足利)
『転生・連鎖する物語』ギャラリー現(東京)
2009
『転生・連鎖する物語~ハコガタをめぐって~』ギャラリー青城(仙台)
『転生・連鎖する物語~ハコガタをめぐって~』ギャラリー現(東京)
『路上・修復・ライブ』開始。(様々な場所で行ない現在まで継続中)
2010
『第3回岩手県公会堂アートショウ』(岩手県公会堂、旧石井県令私邸 盛岡)
『路上・修復・ライブ―映像記録№1上映―』ONWARD SQUARE(仙台)
『転生・連鎖する物語~身代り地蔵に関する一考察~』SARP(仙台)
2011
『東日本大震災チャリティ―Project Ark VOL1 ~北からのメッセージ~』(ギャラリー戸村 東京)
『センダイモリオカアート』(宮城県美術館県民ギャラリー)
『東北九州プロジェクト』(2011年7月~2012年5月)(福岡、北九州、熊本、長崎など)
『会津・漆の芸術祭~東北へのエール~』(福島県会津若松市、喜多方市・福島県立博物館)
『なおすとは何か・拾った欠片を再生する試み』ワークショップ(島根県立美術館・島根県)
『TOHOKU-SCOTLAND』展スコットランド・エジンバラ大学(スコットランド)
『髑髏杯』ギャラリ―ターンアラウンド(仙台)
『境界のかたち・向こうから、こちらから』ギャラリ―ウム(仙台)
2012
『どくろ杯・Ⅱ―他者性と不可避性について―』ギャラリーターンアラウンド(仙台)
(トークイベント・椹木野衣×青野文昭、司会・高熊洋平)
『転生―それぞれの地表・流出・移植』SARP(仙台)
『仙台アンデパンダン展』ギャラリーターンアラウンド、SARP、ギャラリー越後、アートルームエノマ、ギャラリーチフリグリ、中本誠司現代美術館(仙台)
『センダイモリオカアートーⅡ』旧石井県令邸(岩手・盛岡)

論考|青野文昭・修復論

https://turn-around.jp/img/wiki/aono_shufukuron.pdf